こころから

V6や、その他のよしなしごと

ベストアーティスト2015の記録、あるいは田口くんを好きになった話

 今年のベスア(特にジャニーズ)について、リアルタイムの自分の感情を記録しておきたかった。しかし書いてる途中で例のとんでもないいたジャンが始まったり紅白の諸々が発表になったりして、テンションが乱高下したことが文章に反映されているのは否めない。そしてメリハリがなく長い。
 
 
 ベストアーティスト2015は11月24日火曜日の午後7時ちょうど、恙なく放送を開始した。
 ジャニーズ一番手はジャニーズWEST。まさかのカップリング『Can’t stop』を披露した。これがめちゃくちゃ良かった。揃って上背があり脚の長い7人が黒のロングジャケットを纏って立っているというだけで文句なく素晴らしいのに、踊りはキレがあって歌までうまい。中間くんの眼光に射殺されるかと思った。ええじゃないかええじゃないか歌ってた人たちと本当に同じ人? 夢中でリピートしてたら、あっという間にNEWSの出番になった。続いてタッキー&翼。またキャンストをリピートして、ばみゅばみゅを見て笑った。48グループのメドレーは少しだけ見たはず。KABA.ちゃんのダンスがSKEに溶け込んでいてびっくりした。さすが。
 
 私はV6担のJUMP推しだから、Hey! Say! JUMPの出番ではとってもわくわくしていた。トークで24時間テレビやV6の20周年コンに触れてくれたのも嬉しかった。こういう場で伊野尾くんが目立つのが当たり前になってきたものだなあ。曲目は大方の予想通りの『キミアトラクション』だったけど、これまでテレビで披露したなかでは最高の出来に感じた*1。新しい衣装はストライプがあしらわれビビッドな色合いかつシャープなシルエットで、プロモーションで使ったパステル王子様衣装より楽曲を引き立てている感じがした。そして、何よりJUMPが活き活きしてた! 今回だけでまた新規が増えた(確信)。階段を降りてくるだけであんなに楽しい気持ちにさせてくれるアイドル初めて! 裕翔くん跳びすぎ! みんな表情が素敵だったし、カメラアピールもばっちりで。セリフも個性が出てた。生放送の場を楽しんでるのが伝わってきた。花道移動があったのも躍動感が増して良かったなあ。カメラワークもポイントを押さえてたよ……日テレ様様だ……。ただただ多幸感ほとばしる時間だった。歌い終わってすぐ見直した。最高だった。次がKAT-TUNだということはすっかり忘れていた。
 放送に戻ってみると、KAT-TUNが『Dead or Alive』を歌っていた。多分ラストのサビあたり。赤の揃いの衣装はかっこよかったけれど、どこかパフォーマンスが精彩を欠いている気がした。
 なんとなくTwitterを開くと、そこにはジャニオタの阿鼻叫喚に満ちていた。ニュースサイトの記事がいくつもリツイートされていたが、私はしばらく記事のタイトルを理解できなかった。
 
田口淳之介来春「KAT-TUN」脱退 ジャニーズも退所”
 
 田口くんって、あの笑顔が素敵で背の高い、ジャニコンで裕翔くんとカップル(語弊ではない)になった人でしょう? え?
 「うそ」「なんで」の二つの言葉が順繰りに口から溢れてきて、血の気がサアッと引いていくのがわかった。
 私はKAT-TUNにも田口くんにも特に思い入れはない。でもたくさんの辛いことを乗り越えて4人になったKAT-TUNが多くの人に愛されていることを知っていた。私がジャニオタになったのは2013年の冬、すでにKAT-TUNは4人体制だった。歌番組で時々見かけるパフォーマンスは美しく完成していた。先日発売になったquarterDVDが素晴らしい出来であることは他担の耳にも漏れ聞こえてきた。私の好きなV6やJUMPが少年倶楽部プレミアムに出演した時温かくもてなしてくれたのも、彼らだった。
 要するに、彼らは4人でうまいことやっていると思っていたのだ。4人のKAT-TUNは安定していて、きっと長く続いていくものだろうと外野から勝手に思い込んでいた。
 
 しばらく呆然としたあとタイムラインを辿り、ようやくことの概要をつかんだ頃、V6の出番が訪れた。6人が5人になって4人になって、10周年を目前にしてついには3人になってしまうというKAT-TUN。6人で20周年を迎えたV6。ひどい話だと思った。V6にはV6の苦難があったことを知っていても。
 混乱しきった頭で見ても、V6はかっこよかった。『Wait for You』は静謐でありながら力に充ちていた。指さきつまさきまで神経の行き届いたダンスはどの瞬間を切り取っても美しい。恐らく大なり小なり動揺があるはずなのにそんなことは微塵も感じさせない。『Be Yourself!』 を選曲したのにはびっくりした。ど新規なのでテレビで見るのは初めてだ。「交差点」で二人一組になって手をクロスさせる振りが面白い。「新しい自分へのはじまりを逃さない」、「ゼロからキミになればいい」、「"キミがはじまる"」……この状況に置かれたそれらの言葉は単なる歌詞以上の意味を持ってしまう。そして最後、マイクを置いて、バク転。20歳のV6が初めて披露したバク転。20周年に向けた盛り上がりのなかで結局一度もやらなかったバク転。かっこよすぎだ、あんまりだよ! 長野くんの着地ちょっとひやっとしたけど!
 
 続いて、ジャニーズLOVEメドレー2015、とやらのPart1。KinKi Kids愛のかたまり』、重い。歌が上手い。関ジャニ∞の『強く 強く 強く』、どう見てもみんな顔が暗い。硬い。横山くんなんて今にも泣きそうに見えた。そういえばYou&Jか。同世代か。そもそもこれラブソングじゃなくないか……リンクしすぎなんだが……。コーラスを含め生歌の安定感がすごい。ジャニーズWEST『All My Love』。正統派のラブバラード。またカップリングらしい。攻めてる。Can’t stopとのギャップ。K-Popみのある人がいる。Hey! Say! JUMP『AinoArika』。踊ってるのが観れて嬉しい。キビキビしてる。全員ビジュアルいいけど、裕翔くんが美しすぎて地球がヤバい。伊野尾くんやっぱり屈んでいない。嵐『Love so sweet』。平和だ……。衣装のカラーリングが信号機とかそんなことどうでもよくなる。プロだ。
 
 その次はPerfumeだった。衣装が相変わらず素敵。15年やってるのか……ジャニーズみたい(?)。関ジャニが出た回のMステでも聴いたのに『STAR TRAIN』と「スタートライン」がかかってるのにこの時気付いた。エモい歌詞、エモい振り、エモい演出。「Music is everything」で『ミュージック・ライフ』*2を思い出した。「いつだって今が 常にスタートライン」……もはやなんでも田口くん/KAT-TUNに向けているかのように聞こえる。
 ここでまたTwitterを見ながら、ファンでもないのにどういった経路を介して発生してくるのかよく分からない悲しみ苦しさに襲われていて、関ジャニ∞KinKi Kidsの記憶がほぼない(後から見返しはした)。「夢見れば傷つくこともある」って、それは、ほんとうに……
 
 ジャニーズLOVEメドレー2015、Part2。TOKIO『LOVE YOU ONLY』。安定感がすごい。白と黒の衣装が素敵。山口くんの髪型かっこいい……。あの場であんなにカッコよくKAT-TUNを呼び込めたのは長瀬くんしかいなかったと思う。そして、KAT-TUN『KISS KISS KISS』。こ、これがいわゆる「布の多い衣装」というやつ! 「この人を見ることができなくなってしまうのかぁ」、と不思議な気持ちで田口くんを目で追っていた。
 雷が落ちたみたいだった。
 田口くんはとても綺麗だった。自分の意思でアイドルを辞めようとしている人とは思えないくらい爽やかで魅力的な表情を浮かべていた。なんて端正な顔なんだろう! 彼は目のさめるほど長い手足をふんだんに使って、板の上で輝いていた。その踊りは私の好み、「めちゃくちゃスタイルのいい人(骨がしっかりしている感じだとなおよい)がそれを有効活用しまくる」(例:生田斗真)にドンピシャだった。「本能で」で頭を指差す手つき、滞空時間の長いジャンプ、リズムに乗って揺れる首! 踊るために生まれてきた人だ! どうしてずっと見逃していたのだろう。
 だいぶ落ち着いた今になって思うに、脱退を知ってファンでもなんでもない私が最初に受けたショックは「楽しくアイドル活動を行っている(ように見える)ジャニーズタレントが不祥事などなくても自分の意思であっさり辞めてしまう」可能性がこの世に存在していることを提示されてしまったことによるものが主だった。信じていた世界が崩れていく感覚。しかし、田口くんに魅了された瞬間からそれに「舞台の上で光り輝く逸材が失われてしまう」ことを惜しむ気持ちが加わった。
 
 悲しみと高揚感がないまぜになってぼんやりしているうちにNEWSが『愛言葉』を歌い始めていた。4人のNEWS。今何を彼らは思うんだろう。にしてもすごい衣装だ。増田さんの歌いながら豊かに動く表情筋のアイドル性に感嘆した。加藤さんが歌ってると応援したくなる。手越の声量にムカつく(すっごい褒めてる)。続いてV6『愛なんだ』。岡田と健くんに捕まってる小山さんが可愛かった。井ノ原くんの一人ガヤ芸。ソロパートを朗々と歌い上げながら5人を引き連れて花道を歩く坂本くんよりかっこいい人が存在するでしょうか? いません。今年のコンサートで着ていた真っ赤な衣装で軽やかにステップを踏み、スキンシップを取り合う彼らは私にとってはほとんど幸せの象徴に等しいものだ。歌いおわってからまるで舞台のカーテンコールのようにお辞儀して手を振る坂本くんが本当に好き。ずっと応援したい。
 以前*3彼は夢を「舞台の上で死ぬこと」と語った。それなら私の夢はそのステージを観ることだ。
 
 その後のTOKIOのステージで長瀬くんが『東京ドライブ』で「たまにはこんなベストアーティストも悪くないと思いませんか?」と歌っていた。そう、私にとっては悪くないベストアーティストだった。田口くんが素晴らしい踊りをする素敵なアイドルだということを知ることができた。
 嵐のトップアイドルの貫禄を感じさせるステージを見終わってから、タワーレコードオンラインにアクセスしてKAT-TUN LIVE 2015 quarter in TOKYO DOME<通常盤>を注文した。数日中に届くだろう。観たらきっと4人のKAT-TUNをもっと見たくなってしまうだろう。もっと田口くんを好きになってしまうだろう。もう私達の前に現れてくれることのないかもしれない田口くんを。
 
 ステージの神様あるいは魔物でも、汚い大人でもなんでもいいから、田口くんをスポットライトの当たる世界に引き止めてくれ。どうか。